ぼくののうみそ-中央線アンダーグラウンド

ヤクザに絡まれた
「ヤクザに絡まれた」なんていう言葉を最近あまり聞く機会も無い。最近ヤクザはなかなか絡まないし、そもそも街で「アッ!ヤクザだ!」と分かるような出で立ちもしていないので絡まれた相手がヤクザなのかどうかも分からない時代かもしれない。何と言っても各地で施行される暴力団排除条例である。不用意に絡むと彼らとて大打撃を被るのである。

だが先日仕事で訪問した会社で、「ヤクザに絡まれた」という3名の方の貴重なお話を聞くことが出来た。なかなか最近では聞かない「絡む系ヤクザ」の存在に、まだまだ日本も捨てたものではないと心を躍らせてその話を伺うことにした。

聞けばこの会社、社用車を停めるビルの地下自動式駐車場にて、近隣に事務所を構えるヤクザと同じところを使用しているのだそうだ。
自動式駐車場は地下スペースを有効に使えるため都市部のビルでは多く採用されているのだが、地下スペースに停めた車をボタンキーで呼び出し、昇降・水平移動にてオートマチックに運ばれてくるまでの時間、他の利用者が待っていなければならないという難点もある。そしてまさに、その待ち時間にこそヤクザと接触するケースが多発し、不幸にも絡まれてしまうのだという。

一人目、営業の仮にAさんとしておこう。Aさんのケースはこうである。

「いやあ、オレがクルマ出そうと地下のシャコに行ったら呼び出し口のところにヤーさんが電話しとったんヤ。電話終わるまで待ってて、『車出させてもらってよいですかー』って懇切丁寧に言うたらヤなあ、点滅するサイレンを指差しながら『見たら分かねえのか?今出してんじゃねえかボケが!オ?!』って凄まれてヤなあ。いやあ、ほんまヤクザはタチ悪いわあ・・・」

続けてもう一人。Aさんの上司、Jさんとしておこう。Jさんのケースはこう。

「いやあナ、オレが地下から児童でクルマ上がってきたからナ、車庫から出そうとクルマ乗り込んだときにナ、電話掛かってきたんヤ、専務ヤったもんヤから話しトッタんヤけど、長話になってヤなあ・・・、そんでしばらくしたらドンッって車が揺れる音がしてヤな。ったら、コレよ(頬にキズのジェスチャーをしながら)。窓開けろっていうから開けたら、、『お前ナニやってんだ?オイ?蹴られても文句いえねーよな?!オ?!早く出せや』ってボディ蹴りながら顔を近づけてくるワケよォ。いやあ、ほんまヤクザはタチ悪いわあ・・・・」

最後、部長。Bさんとしておこう。彼は駐車場ではないが、運転中の経験談を語ってくれた。

「あいつらタチ悪いけんの〜!ヤクザのクルマにだけはぶつけんほうがいいで〜!昔三重に出張行った先で、当時のセンムのせとったら、センムが急に道間違えた言うもんでUターン禁止のとこやったけど『ええからせい』てセンムいうから急ハンドルでUターンしたらよりによってやなあ・・・」

「・・・・」

賢明な読者の皆さまならすでにお気づきだろうが、ヤクザは全く悪くない

「いやあ、オレが鮫の居る海域でヤなあ、海水浴をしトッタんヤ。したら鮫が前方をゆた〜とおよいどったんヤ。ジャマやなあとおもったんで、モリで懇切丁寧にツいたらヤなあ、ガッブゥって噛まれてヤなあ。いやあ、ほんま鮫はタチわるいでえ・・・」

こういうことではないのか。

「こんにゃく畑はタチ悪いけんの〜!こんにゃく畑だけは食べんほうがいいで〜!昔三重に出張行った先で、当時のセンムと飯くっとったら、センムが急に冷えたこんにゃく畑が食べたいいうもんで、凍らせると硬さが増します』って書いてあったけど『ええから冷やせ』てセンムいうから凍らせたらやなあ・・・

こういう輩ではないのか。

「某国産スマホのな、電池を長持ちさせる丸秘裏ワザ情報いうのをネットで2万でこうたんやけどナ、これが全く変わらんのヤあ。いやあ、ほんまレグザはタチわるいでえ・・・」

これは言いたかっただけです。


やりきれない思いをぶつける先は商談ノートの中だけ。ノートの端に「ヤクザは悪くない」と殴り書きして「今後ともよろしくお願いします」と客先を後にする俺であった。
| zukkini | 雑記 | 10:55 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
俺はただ親切心で
昼休み、浜松町のオフィス街を外れたところで一人、昼飯を食べていた。
この店、夜は居酒屋だが昼は店の前で弁当を売っていて、珍しいのは買った弁当をそのまま店内で食べて行けること。
「弁当、店内で」と言うとどうぞどうぞ、電子レンジも使ってください、なんて感じで歓迎されるし、あまりこのシステムが知られていないのか、広くない店内だがこの界隈では信じられないほどの空き具合。非常に心が落ち着く。
おまけに店内で食べる人限定で豚汁が150円、ランチコーヒーが100円、ランチビールは180円とくれば店内で食べるしかもはや手立ては無く、通う度いつかランチビールを飲んでみたい気持ちでいっぱいである。

今日はピラフとスクランブルエッグの上に、コロッケと白身魚と何の肉かよく分からない揚げ物がタルタルソースまみれで乗った子供騙しのような弁当。足りないと不安なので、プラス100円でから揚げと赤ウインナーが入ったパックを追加。痩せないはずである。
カウンター席に座り、与えられた電子レンジも使わず冷えたそいつを頬張っていると、「サムーイ」など大げさな凍えるポーズと共に、この男くさい店には珍しく20代後半と思しき4人組の女性客が現れる。
はて、混雑したオフィス街のランチ=シーンに嫌気がさしとうとうここへたどり着いたのだろうか。婚期を逃さねば良いが。など思い一べつ。

「サムイ」などと言った割には女性たち、安さには心を奪われたらしく「アイスコーヒー下さい」と言う。
そして電子レンジに購入した弁当を投入するとすかさずタバコを取り出し、孤食を楽しむ野郎ドモの背中に向けて女性3人の声を響かせるわけである。

女性の近くに居た俺、こうなると30歳にもなって赤ウインナー3つも食べているのが妙に恥ずかしく感じ、やや隠し気味に赤ウインナーを早く口にかっ込む。すると哀れ、俺の食卓はパセリを除けば茶色が支配する荒野の世界と化していて心が沈む。この辺りのトゥーマッチな自意識は30代の早い段階でオサラバしたいものである。


「えーっ、アイスコーヒーは3つでよかったんですぅ」

くだんの女性たちのテーブルからそんな声が聞こえてきた頃、俺は楽しみに最後まで取っておいた謎の揚げ物がチクワであることに愕然としていた。
テーブルに届けられた4つのアイスコーヒーだが1つ多かったようだ。1人はコーヒーが飲めないらしく「あ、飲んでくださって結構ですよ?」という店員のサービスも実らない。
食べ終わり、一日に2本しか吸わないタバコに火をつけ、そのやり取りを背中で聞いている俺。自分の弁当を平らげ、いつでも店を出られるという気持ちがそうさせたのか、ふと、妙な勇気が芽生えてきたのである。

≪それ、僕が飲みましょうか〜?なんて言ってみるのも、これは粋じゃないか≫

さりげなくである。
極々自然なアクションが要求される。何も歯には詰まっていなかったがシーシーと爪楊枝を咥え、カウンターからの振り返りざま、背広の襟を何のためか良く分からないけどゴニョゴニョしながら言おう、など頭の中で練習してみる。
全然馴染んでないが一応俺も常連。そういうのっていいんじゃないだろうか。「ヨッ!」みたいな掛け声の一つぐらいくれるんじゃないだろうか。そういう前向きな気持ちが沸々とこう、なんか沸いてくるわけなんだね。

でまあ、ひとつ言ってみた。

「おう、それー、なんやったら、俺がもらいましょうか〜?」

こういう具合だった。気さくで、小粋だった。
だけど≪言った!≫と思った次の瞬間、愚かで間の悪い別の店員が遠くから俺の声に重ねるように言うワケだ、「コーヒーそれ、1つは8番さんのだからねーー!」

突然話しかけた俺の声に一度はパッとこちらを見た女性客と店員だったが、「それは8番の」という別の店員の声にそちらを振り返り、そして止せばいいのにまた「つーわけなんスけど・・・」的に俺のほうをゆっくり振り返る。

そんなに社交的な感じでもなくせに急に声を発した男を憐れみの目で見る女性たち。あわやコーヒーを取られそうになった8番テーブルのジジイも俺を警戒のまなざしで見ていた。これではただの食いしん坊である。
小学生のとき同じことをやったことがある。給食でフルーツポンチが出た日、一人が風邪で休んでいることを確認すると、余ったフルーツポンチを求めて集まってくるハイエナたち。「おう、そのフルーツポンチ、なんやったら食べましょうか〜?(人助けですし〜)」
醜い男子による醜いジャンケン大会の始まりだ。

俺がやったことは形だけを見ればこれと同じである。だが賢明な皆さまには既にお分かりのように元は完全な親切心である。それがこのざまとはどうだろう。
ご馳走様とつぶやき、逃げるように店を出る俺に落ち度があったとすれば、そんなに気さくな感じのルックスではないという点である。あとは何も無い。

かくのごとき次第である。なんでもないランチタイムが、ちょっとした出来心でこのザマ。
極力目立たず、必要最低限のことだけをしてやり過ごしていきたいものだ。
そしていつかアメリカに行こう。
| zukkini | 日記 | 23:03 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
友が火を噴く正月
帰省してテレビを眺めていたらCMに見たことのある人物の顔があり大変驚いた。




大分前の話、覚えている人も多くはいないだろうと思うが俺が以前ライナーの態で記事を書いた知人のバンド「Jimmy Jazz」の面々である。スカした海辺のヤンキーどもがこんなグランジフルなハコで一体何をしているのか・・・・!

11月から夢のCS放送生活を送っている俺が実家に帰りシブシブ眺めていた地上波放送。(最近では下界波とも呼ぶそうですね。)
そんな地上波にてザッピングを試みるもろくな番組はなく、池上彰の番組をぼんやり眺めていると先のCMが流れてきたのである。
長年知った顔、一目見てヴォーカルのジョー君だと分かったのだが、まさかの思いは強くソワソワしていると30分後に再びCMが流れ、得意のインターネットで緊急検索し事実を確認。

≪ヴィーナス・ギャラリー、美術館じゃねえ!≫

アツいメッセージだ。
ほう、美術館ではない、では何だろう、と眺めていると「ドゥーハー!」で終了。足がしびれていた。
答えは火の中。リビングにすえられた実家のテレビの中で、俺の家族に見守られながら彼は火を噴いていた。
母親に説明すると「あのクリスタルキングのような人か」と思い出してくれた。「何で火ば噴きよらすとね(苦笑」と、やはりそこであろう。

その翌日の晩、久しぶりに集まった知人連中の話題はこのCMに集中した。「ドゥーハー」と言いながら火を噴く友達のCMについて酒を飲みながら語り合える幸せ。実に幸せである。
気づくと途中から「消防団は一種のコスプレではないか」という割とどうでも良い議論に変わっていた。

ジョー君に「CM見たぜ」とメールをすると翌日に実家を突然訪ねてきて新しいCDをくれた。(「Special Thanks to」のところにはサンク・ロックの大家であるzukkini先生の名前が入っておりました)
芸達者なもんだから最近では地元のFM唐津で準レギュラー化しており、すっかりローカルスターの彼らであるが、本業こそ絶好調で1月にはワンマンライブも決まっている。生き急ぐ子たちなのである。




売れたら俺とトークショーをしてくれることになっていることですし、北部九州の皆さま、どうか彼らをよろしくお願いいたします。
とりあえず1月22日にUTEROでワンマンライブがあるのでそちらへ是非。入り口にて「ぼくののうみそを見た」で「えっ、何ですか・・?」がついて来ます!


| zukkini | 雑記 | 12:28 | comments(0) | - | pookmark |
シリーズ〜何なんだお前らは
中学のとき、バスケ部に松尾君というめちゃくちゃ寡黙で、そのくせバスケがチームで一番上手いcoolな先輩が居たんだけども、ある日、誰かが話し掛けない限りは滅多に自分から口を開かない、そんな松尾君が皆の前で凄く深刻な口調でこう、言葉を発したことがあった。

「今年の冬はめちゃくちゃ寒くなる。」

確かそんな感じだった。一言、確かそれだけ言ったと思う。
滅多に口を開かない松尾君がそんなこというもんだから一同真に受けて全員「うわぁ・・・今年の冬はめちゃくちゃ寒いのか最低だ・・・」って憂鬱になっていたわけだが、残念ながらその年は暖冬であった。

****

高校のとき、バスケ部に広一郎という男が居た。中学を強豪校で鍛えられた実力者だったものの、入学後発症した謎の病気で半年間入院し、大きく出遅れた悲運の男だ。
実力はあるがやはり半年+アルファのブランクや出遅れは埋めがたく、また、マイペースな性格であまり積極性を持たなかった広一郎にはこの逆境を跳ね返すバイタリティが欠けていたことから、その後もスタメンに名を連ねることは無かった。

ある県大会、勝ち進んだ我々はベスト4に入っていた。次の試合で対戦するのは県No.1プレイヤーを擁する優勝候補。スタンドから観戦する部員一同が「アイツは一人では止められない・・」と弱気になる中、一人の男がこう言った。

「俺は、弱点を見つけた。」

声の主は広一郎。普段自ら言葉を発しない眠れる獅子の覚醒に「おお・・・」とどよめく部員。
だが、試合を通じてベンチに座っていた広一郎は誰にもその弱点を教えてくれないまま、試合は終了した。

****

最近たびたび登場する俺の飲み仲間、イシイ君。彼は一年中黒っぽい服を着て居る。
時々、何を思ったか和ガラやスカジャンを着てくるときはあるが、基本的に黒い服だ。誰かの喪に服しているのかもしれずなかなかその理由は聞けないが、いつも死神のような出で立ちで現れては、本のようなiPhoneカバーを手に取り俺との会話中にもそれをこっそり開いては、twitterで「飲みが足りない!」などとつぶやいている不届きモノである。

秋以降、イシイ君の服装は黒いパーカーから変化が止まり、ほぼ同じになる。10月から12月までイシイ君は常に黒いパーカーだったように記憶している。
寒くないのかと聞くと、「部屋のほうが寒いので大丈夫です」と答える。それはそうかもしれないが、何だかそれじゃあ辛いだろうと思い、心配してこの先もその格好で越冬するのかと聞くと心配ご無用といったキリッした表情でこういう。

「毎年冬はパーカーで充分ですね」

だがそのとき俺は、イシイ君と初めて会った2010年の2月、彼が黒いダウンに身を包み「いやあ寒いですね・・・」と言っていたのを思い出していた。

| zukkini | 雑記 | 12:24 | comments(2) | - | pookmark |
夢で逢えたね
歩道橋が好きで、急がないときは結構歩道橋を利用することが多い。
単純に高いところに登れるというだけで愉しいものであるし、わざわざ人が道路を越えるためだけに作られた割に色々と大げさな仕様を持つアノ小路には、日常の中にあるちょっとした非日常を感じられるような気がするからである。

歩道橋の上にはゴミが多い。残念なことだが歩道橋の多くはゴミで溢れている。
特に利用者が少ないところであれば、それは街の死角となりモラルも低下、そこそこのサイズのゴミも捨てられるようになる。管理責任がどこになるか知らないが、メンテナンスもしていないのだろう。
そしてこれは歩道橋愛好家ならば分かる問題だと思うが、歩道橋の上にはとにかくウンコが多い。犬のものではない。人糞である。なぜなら事後のティッシュが散乱しているからである。
誠にキチャナイ話だが、街の死角を利用した緊急避難的行為か、もしくはこの建造物と景色を利用したハイレベルな自己表現かもしれない。俺にはわからない。

昨日、そんな歩道橋を利用していたとき、案の定目の前にさもモンスターの出現!と言った堂々たる風情のウンコが1台、歩道橋の真ん中に停車してあった。「こらこら、ウン交法違反ですよ、ピーッ」と心の笛を吹きさらりとかわす。検挙したいところだが、あいにくボクは非番なのである。

その日の晩である。
俺は夢の中に居た。夢の中で、再び歩道橋の上に居たのである。おや、と思うその目の前にはやはりその日みたのと同じく堂々たるウンコがハザードを点滅させて停車している。
このような日中とまるで同じようの状況で俺は、何か強烈な磁場のようなものに自由を奪われ、そのウンコを踏み、無様に転んだ。

現実で避けたウンコを夢の中で踏まされる。どう考えても踏まれ損ねたウンコの怨念だとしか思えないこの顛末を皆さんはどうお考えになるだろうか。
あと、ウンコがヒトに踏まれたがっている前提で物事を考えている俺についてもどう思うか。
| zukkini | 日記 | 11:21 | comments(2) | - | pookmark |
クリスマス 2011
2012年にもなったというのに、俺は2011年の年末の出来事を書くのである。
今年もよろしく。

*****

12月25日。
いつもの高円寺、いつもの「やきとり大将」の本店にて、いつものフェロモンさんとイシイ君と3人でクリスマスパーティを開催した。
大将が毎年クリスマス限定メニューとして提供するチキンを目的として集まったのだが、残念ながら「24日で終わったんですよお」という有様。「チキン、チキン」とにやけながら昼3時に来たチキン乞食の我々は深く意気を消沈させた。チキンが食えなければ別にこんな昼の3時に、こんな大将なんかに特に用は無いのである。
近年徐々に25日の本番から24日のクリスマス・イヴに世間様の重きが置かれ始めている気がしていたのだが、この大将チキンの売り切れを見るに、もはや25日はイヴの次の日でしかないようだ。

「じゃあ、つくねだッ」

吐き捨てるようにつくね。「じゃあ」って何だという話だが、せっかく来たからということで当然のように我々はクリスマスにつくねを食べた。つくねは常に美味い。どうしてだろう。
「メリークリスマス」と言って掲げる杯は貫禄の安酒・日本酒「大将」(280円)。周囲を見渡すと良く分からないけど多分金融の話をしているチンピラと、よく分かってないけどとりあえず政治の話をしているパンクスしか居ない。
ここ大将に限っては12月25日なんてクリスマスではなくただの年末である。





そんな中、雑居ビル一階の土間のようなところで、すきま風に凍えながらパイプ椅子に座っているとさすがに惨めな気持ちにもなるもので、たかだか500円程度の鍋を頼んだだけなのに「高額メニューを頼んであげたんだから良いだろ」と強気になり、「もっと温かい上の階へ移してくれませんかねえ」と、男三人エレベーターで三階へ。

いつも利用している大将本店だが三階に登ったのは数えるほど。驚くことに、久しぶりに案内された三階にはなぜかカラオケが据付けられてあった。





1曲100円。特にコインを投入する場所も無く、歌ったことを自己申告すれば会計に追加されるシステムだ。
とはいえここはただの焼き鳥屋。殺伐とした大将の雰囲気の中、他の客を無視してカラオケに興じるのは困難である。
イシイ君に「キングクリムゾン歌ってさらに殺伐とさせてよ」などと質の悪い冗談のネタにしかしていなかったこのカラオケマシーンであったが、程なくして隣のテーブルに座っていた30代前半の女性3名グループが「これ、いっちゃおうよ」など盛り上がり、おもむろに曲を投入し始める光景が目に入る。





恥ずかしそうに始まった1曲目でこのカラオケも終わるかと思ったが、2曲、3曲と続き、酔いの進行か開き直りか徐々に興が乗ったようにノリノリになってきた女性グループは次第に他の客に絡み始め、一番近くにいた我々がそのメインの標的となるに時間は掛からなかった。
最初は付き合い程度で手拍子をしていたが徐々に「お兄さん達も歌ってくださいよぉ」と歌の強要が始まり、一緒に合わせて適当に歌ったりなどしているうちに徐々に打ち解けていく形に。

我々も男である。女子から声をかけられれば悪い気はせず、「今日は何を?」と問われれば「ええまあクリスマスパーティをねえ・・・コホン」などと薄らキモい返答でお茶を濁しつつこのままカラオケに参加してみようかと思案しようとしたところであったが、一応「お姉さんたちは今日は何を?」と聞き返してみたところでまさかの回答が。

「うちら・・・・親友の通夜の帰りなの・・」

「ヒィ・・・・!」

そういえば全員黒い服を着ている。仕事帰りなのかと思っていたが確かにこれは通夜帰りの黒である。
そういえば・・・泣いている。酔って目が血走っているだけかと思ったが、3人中2人は目が真っ赤である。よく見るとうち1人は泣きながら歌っているではないか。
さらにそういえばになるのだが、歌っている歌が全て「さようなら友達」系の歌である。
こんな人達に一体どんな冗談を言えばよいのか俺にはわからない。
俺など空気も読まずに高円寺駅北口の雑居ビル三階でTMネットワークの「Get Wild」を完全熱唱してしまったわけだが、とんだミスチョイスである。

そういうわけで徐々に消極的なお付き合いに留めようとしたのだが、そんな煮え切らない我々に業を煮やし「う、歌えよオラァ・・・!」と徐々に語気が強まる彼女らはついに痺れを切らし「お前ら歌わないなら帰れ!!」と叫び出すではないか。
鍋も食べ終わったし、よく見ると三階のフロアには俺たちしか居ないし、「ご愁傷様ッ・・・!」と逃げるように店を出る我々に「帰れェ!!もう帰れェ!」とマイクで叫ぶ女子。親友を失った彼女達はこうして大親友になれたかもしれない俺たちを追い出すのである。
皆さんはクリスマス、一体どうやって過ごしていましたか。俺は男3人、JR高円寺駅前で見知らぬ通夜帰りの女たちにマイクで恫喝されていまいた。

「お会計は6,800円、、あ、ごめんなさい、6,900円ですね」

逃げるように会計を済ませようとしたがGet Wild代の100円はきちんと徴収されていた。

| zukkini | 日記 | 22:50 | comments(2) | - | pookmark |
2011年の記事
今年も・x・ぼくののうみそをご愛読いただきましてありがとうございました。
個人ブログの時代が終わったといわれて久しいわけですが、早く皆がブログを辞めて俺だけになればいいなって、おもっています。いいですか、個人ブログの時代は終わりました。あなたがた、もうおやめになったらどうですか。んー?

早いもので、激動の2011年ももうすぐも終わり。ちょっと早いですけど来週関西出張なので今のうちに今年書いた記事の中から幾つかピックアップしてみたいと思います。
(それ以前の記事のまとめはこちら


*****


俺は目利き

脳内節約

ナイシトールに気をつけろ

きれいなジャイアンが皆さんに一言あるそうです。 2011

3日間寝てない人達と話をした

ワンサウザンドウォーズ

ザ・レジェンド

And More!!!

隣人、一体どうした

腰痛、そして・・・

トラウマ

「いくつだと思います?」というアレ

イシイ君

そういえば幼稚園児だった

マンチェスター・ユナイテッド・カフェバー事件

高円寺グルメ情報 リターンズ

マサルセックス

最後の3分間スピーチ

皆既月食の夜


それ以外にも何か良かった記事があれば教えてください。

| zukkini | - | 02:23 | comments(2) | - | pookmark |
皆既月食の夜
昨晩忘年会の帰り、最寄り駅を降りたところで強烈な便意に襲われた。
駅のトイレに寄ってみるも、この不況の中、個室はまさかの全室完売。並ぶ人の列を見る限り、予約は半年先にまで及んでいる雰囲気である。
自宅までここから歩いて15分ほどである。特に切羽詰った状態でもないし便意を無視して、酔い覚ましも兼ねて徒歩で帰宅することにした。

歩き始めればなんと言うことはない。途中コンビニが2軒あったがウンコさんはまだチェックアウトなさる様子ではなく、安心して2軒ともスルー。
そんなことより昨晩は皆既月食である。酔った眼で空を見上げてみるといつもと様子の違う月がぼんやり。メガネの無い目ではよく見えなかったが、外に出て写真を撮る人々が何やらスゴイスゴイと言うものだから、ああ凄いなあなどポツリと呟いてみせたりしてこのイベントに参加する。

そういえば月の満ち欠けと赤ちゃんの誕生の関係についてよく目にする。
昨日は皆既月食だったが、満月に加えて月食の特別なパワーもあることだし、月蝕ベイビーが各地で誕生しているのかなあとか、自分が産まれた夜が月蝕だったと後々言われたら嬉しいなあなど、ガラにも無く素敵な物思いにふけりながら歩みを進めるのである。

月とお産の関係についてはその様な認識であれば我々としては充分であるが、果たして、便意と自宅までの距離についての考察はいかになされているのか。ここには甚だ関心が増すばかりである。
というのも、先ほどのコンビにのある比較的栄えたエリアを過ぎ、閑静な住宅地の、到底便所など期待できないエリアに達したところで、「敵は糞尿寺にあり」とばかりに突如として便意の急襲を受けたのである。
その便意ときたら自宅へ近づけば近づくほど増大するばかりで、したがって早く・急いで家に向かいさえすれば事なきを得るという雰囲気でもなく、ジワジワと慎重に近づかねば、急激な圧力の変化により堤防は決壊することが予想されるわけである。

思うに、体が便器へと近づくわが身を察知し、ことさらウンコ・アシストサービスとして便意を働かせているのではないかと、そう考えるわけである。しばしば経験するこのサービス、そのピークたるや便座にはなく、なぜか決まって自宅のドアの目の前、鍵を探して焦って荷物の中をゴソゴソやっている最中にやってくるという非道ぶり。サービス社会、スピード社会の弊害とも取れるこの距離検地便意サービスの余計なおせっかいには憤りを感じるばかりである。
かといって歩みを進めないとモレッティと相成るのも時間の問題となり、俺は久しぶりに「欽ちゃん歩き」という古典的な耐便歩行法を駆使し家路を向かうのだが、途中どうしてもくじけそうになり、二度も近所の壁際に立ち尽くし、苦悶の表情で下の口に「シャーラップ...」と言って聞かせるのである。

とても便意をもよおしているとは思えないようなアカデミックで文化的な表情を作ることで不審者としてのレッテルを貼られることを避け、また、苦し紛れに目に付いた歩道沿いの花壇に腰を下ろし、「家に近づくとダメならコンビにまで戻るか」という愚策も頭をもたげたが、「単に歩行により腸が活性化されているだけかもしれない」という歩行活性論の見地に立てたことから引き続き死の歩行を続けるに至った。

ここまでの便意を経験したのは、経験不足と根性の欠如により無残に漏らした幼稚園児以来この日が初めてだったのだが、実に辛い。まさに出んとするウンコの凶暴性をここで明らかにしておきたいが、肛門が痛いのである。痛い。
結局自宅直前での便意ピークを経験したものの、家には妻が居り、幸いドアは簡単に開いた。
ただいまも言わずにドケドケドケイと乱暴に家に、便所に突入すると間髪入れず立派なインゴットが、平たく言うと巨大なクソが「チース!」と体育会系のノリで出たのであった。

ナイト・オン・ザ・プラネット。
昨日同じ月を見ていた皆さまには悪いが、これも皆既月食の空の下に起こったあの夜の一つの物語なのである。どうも失礼しました。
| zukkini | 日記 | 15:26 | comments(0) | - | pookmark |
コーエイ
仕事中、もっぱら電話番をする日々である。

新しい職場で最初にぶち当たる壁として、かかってきた電話の相手の名前が全く聞き取れず何度も聞きなおさざるを得ないあの煩わしさがある。
向こうにとっちゃあ毎度お馴染みの、どうも僕です!みたいなノリで、自分の会社名は当然のこと、誰宛に掛けたかすら言わず、とにかくもう色んなものを略して「○○ですー」だけしか言わないヤツなんてのが割と数多く居るわけである。

「なめてんのか」と言いたいところを「どちらの○○様ですか」「誰宛てですか」なんて懇切丁寧に聞いてあげてるうちはまだ親切な方だろうに、そういう当然の質問をしただけで「さっき何か変なヤツが電話に出たぜ?」なんてことを自分の無作法を棚上げして、取り次いだ担当者に訴えてみたりする訳であるが、ハッキリ言って色々とルールを間違っているのはお前である。俺は赦さない。
まあこんな風で社会人何年目だろうが、全く新しい環境での電話番というのはやはり何かと難しいものがあることだけは主張しておきたい。

そんな煮え切らないオフィスタイムの中ではあるが、例外的に俺が楽しみにしている電話がある。
それは「コーエイ」という会社からの電話。会社自体には興味が無いので調べたことがないので漢字でどう書くのかいまだに知らないが、2日に1度は電話が掛かってくる。掛けてくるのは物凄く愛想の無い、恐らく40代ぐらいの男性。ぶっきらぼうでさらに声が篭っている、毎回同じ人物である。

こんなオッサンからの電話のいったい何が楽しみなのかと言えば、例によって最小限で名を名乗り、誰宛かも兼ねてしまおうとするジョーレン・スタイルで「コーエイです」とだけ言ってくる彼の電話が、「光栄です。」と何かを名誉に感じているように聞こえるからである。全く光栄に、名誉にも思ってなさそうな不遜な口調で、ハイヨロコンデーもビックリの棒読みで「光栄です・・」と、そう言うのである。
「光栄ですけどー」と言う日もある。「光栄ですけど、なにか?」的なふてぶてしさには思わず何か褒美でもつかわしたくなる気分になるものである。

ある日、電話に出るとまたいつもの調子で「光栄です」と言ってきたので本当は良くないことと思いながらも2、3秒無言を貫いたところ、男性はオヤと思い「光栄ですー、光栄ですけどー」と何度も光栄に思ってくれて噴出しそうになった。せっかくだけどつかわすことのできる褒美が無いのが残念である。

新しい会社も、そんなわけで入社1ヶ月が経過し緊張感がだいぶ薄れている俺である。
もうすぐ30歳、不真面目は治る様子が無い。
| zukkini | 日記 | 22:45 | comments(0) | - | pookmark |
ラジオ体操
俺は本社勤務の営業職なのだが、朝は必ずラジオ体操第一が行われる。
工場で同じ時間にラジオ体操が行われているため、全社的に行うのだそうだ。

ラジオ体操など高校生以来だろうか。久しぶりにやってみると当然ながら全く覚えていない。
まわりをみると皆慣れた感じで、また思い思いのアレンジを加えながらラジオ体操をこなしている。
80人ほどが働くフロア、自分の座席に立って行う人、少し広いスペースに移動して行う人、なぜか空いてる会議室に入ってやる人などなど、特に誰かが前に立ち秩序を持って行うわけではない。もっというと、参加は任意で忙しければやらなくても良いのである。

そういえば今までラジオ体操ってのは必ず誰かが前に立っていて、それを見ながら何となくダラダラやってきたものだった。こうして自由に無秩序にやらされると全く覚えていないことを痛感させられる。
そもそもラジオ体操の掛け声は非常に抽象的である。ラジオ体操を知らない人に「うでを上げて」「腕を振って」「大きく前へ!」などと言ってみて果たして正解にたどり着くだろうか。
ラジオ体操とは覚えていて初めて参加出来るものだと痛感する毎日である。
そういう事情だから、しょうがなく遠くできちんとやっている人の動きを見よう見真似で今日まで続けているのだが、相変わらず覚えられる気配が無い。

ある日、平日にも関わらず前日の深酒の影響を受けぼんやりと出社してきた俺が、そのまま生気のない状態でラジオ体操をしていたときのことだ。
例によって人の動きに合わせて何となく動いていた俺だが、その日は集中力に難があり、眠いことこの上ない。とはいってもラジオ体操をきちんとやろうがやるまいが問題は無く、あくまで自分のためであるためとそのまま適当にやっていたのだが、それを改めざるを得ないある異変に気づいた。

「両足とび」というものがあるのを覚えている人が居れば嬉しいのだが、俺がこのラジオ体操の中でも比較的アクションの大きなやつを集中力の欠如から完全にスタンドプレイでフロアでただ一人繰り出したとき、広いフロアの随分遠くに居る数人が同じようにピョンッと、突如として手を広げ飛び上がったのである。
フロアの80%が粛々と「足を戻して手足の運動」を行っている中、全く異なる場所で同時多発的にカエルのように飛び上がったマヌケが5人。割と偉い人もその中に含まれていた。
つまり、遥かかなたから、彼らは俺の動きをぼんやりながめて参考にしているのである。やはり皆そうなのである。ラジオ体操などそう完璧に覚えているはずが無い。
彼ら、周囲に対しとても決まりの悪そうな顔をした後、恨めしそうに俺を睨んでくる。そしてそれを余裕の深呼吸でかわす俺。笑いがこみ上げてくる。

明日もフロアのどこかで俺の動きを参考にしている人間がいるかもしれないと思うと、このラジオ体操が俄然楽しくなってきた。
途中からラジオ体操第三、攻めたいときにはアドリブのロボットダンスなど交えたりして、朝のフロアを混乱に陥れるのも良いかもしれない。
なにせ遠くから俺を見ているやつがいるのである。新しい会社、これぐらいしか今は楽しみが無い。

| zukkini | 日記 | 22:14 | comments(0) | - | pookmark |







・x・最近の記事
・x・コメント
・x・カテゴリー
・x・記事一覧
・x・リンク
・x・プロフィール