ぼくののうみそ-・x・

繋がる空間
シニアの自転車にほぼ標準的に装着されているアレ。



名称を「ハンドルカバー」と呼ぶらしい。
春が来て大分暖かくなってきたので最近はもう苦にならないが、通勤に駅まで自転車を使っている俺としては毎年辛く感じる冬場の運転に今後取り入れたいアイテムのひとつでもあるのだが、いかんせんデザイン性に乏しくなかなか導入に踏み切れない。
デザイン性を高め、また、プロ仕様過ぎないものがあれば飛びつく人は多いのではないか。

そして冬の朝、ハンドルカバーでぬくぬく運転しているシニアを見るたびに、羨ましく思いながらも、いつも考えるのがあの中が一体どうなっているのかということ。
そんな中ではあるが、最近、あれが下関の袋競りに繋がっているのではないか、という答えにたどり着いた。

下関のフグの競売は少し変わっていて、独特の「袋競り」という形式を採っていることで有名だ。
袋競りとは、簡単に言えば袋の中でセリ人と買い手が一対一になり、袋に入れたお互いの指の握り方で値段を決めるやり方。(動画





日本全国のハンドルカバーを装着している主婦のみなさまはもれなくこの袋競りへの参加権を有しており、毎朝一応「やあねえ、お高いんでしょう?」なんて言いながら一応可能な額で指を出している、そう思えてならないのである。

家計は苦しいけれども、家族には美味しいお食事食べさせてあげたいワ、そんな願いが毎朝彼女達を下関の袋競りへと向かわせるのだが、残念、いやあフグってお高いじゃあないですか。
今日も下関のセリ人に「奥さん、その金額じゃあ買えないよ」なんて言われてためいきひとつ、「今日は、おサバにしましょう」っていう現実と向き合いながら皆さまの夕飯の準備を整えている、そうと思うと感涙を禁じえないじゃあないか。そうは思いませんか皆様、妄想だけど。


大切なあの人にフグが贈りたくなったら・・・・街で見かけたハンドルカバーに手を突っ込み、相場を読んで、覚悟を決めて、ビシッとトロ箱1ケース競り落としてみませんか、妄想だけど。
| fabricio zukkini | 妄想 | 23:38 | comments(3) | - | pookmark |
男28歳(完全版)
男28歳、今年の冬に29歳となり、四捨五入すると死体になるという、いよいよ余生突入の悲しい現実と向き合っております。
背後から漂う加齢臭を利用して、せめてゴキブリ駆除にでも役に立たないかと、集めた加齢臭から抽出した液体を眺めては一攫千金を夢見る毎日で御座います。
今日は最近感じる男28歳の有様を報告したいと思います。思いついたらどんどん追加してチェックシート化し、それを東急ハンズに売り込み、一攫千金を夢見る男28歳で御座います。

・男28歳はテレビに、特にバラエティに向かってブツブツ文句を言います。くだらねえ、だのうるさいだの、もはや男28歳が観る事の出来る番組は 天気予報しか無いという有様で、テレビを前にインターネットで仕入れた週刊誌レベルの裏情報を嫁に語っては疎まれている毎日です。

・男28歳は最近服装に無頓着。大好きなホームセンター、島忠に行っては「作務衣」のコーナーをじっと眺め、嫁に疎まれている毎日です。

・男28歳はもはや髪の毛のセットすら無駄であると断ずるフェイズに達しました。短髪豚野郎と呼ばれてもやむなしとの覚悟で、近所の1000円カットの腕前をチェックする諜報活動に勤しんでいるので御座います。

・男28歳の死体化は徐々に進み、最近だと歯がスカスカになりつつあります。軽い衝撃を頭に食らっただけで前歯の一部が欠ける有様で、そこに食ったものが詰まるという現象が日常茶飯事。一日の大半を詰まった歯クソのことを考えて過ごすという、恋した乙女なみに一途な男28歳の痴態の根元がここにあ ります。

・男28歳は最近近くに行くにも自動車です。出かける範囲もヒゲを剃らなくも良いところかどうか、で決定しており、ますます家畜化が進んでおります。

・男28歳は寝ると必ず涎を垂らし、かなり早い段階から口蹄疫にかかっている可能性も考えられます。なお、余談ですが体型はひょうたんです。

・男28歳が現在もっとも買いたいもの、それはサンダル。肌着で近所をウロウロするようになってから、足下のレベルもそれに合せようと言う魂胆です。

・男28歳の口癖は「よーし、あと5分たったら○○しようっと」ですが、嫁に聞かれていなかったら平気で30分ぐらい延長するという小細工を使ってくる有様。殺処分の対象です。

・いきなり童心にかえるのも男28歳の特徴。大好きなホームセンター、島忠でカブトムシのコーナーに居座っていた時間、なんと30分。そのくせカ ブトムシの値段が高いだの、俺の地元じゃ、だのと悪態をつき、結局買ったのはファブリーズの詰め替え用だけ。勿論自分にシュシュッとするためのもので御座います。

・男28歳、風邪をひいて装着したマスクでようやく己の息の臭さを痛感。得意のインターネットで「飲むファブリーズ」と検索して「赤ちゃんの誤飲 Q&A」のページにひとりたどり着く男28歳で御座います。

・やたら小鳥の視線を感じるなあと思ったらチャックが全開だった男28歳。「キツツキじゃなくてよかったなあ」としみじみつぶやく男28歳で御座います。

・指を鳴らそうとしたらゲップが出た男28歳、まったく異なる神経回路が繋がったようで御座います。

・男28歳、遊びで植えた食後のアボカドの種から不気味なくらいの勢いで芽が出てきております。大好きな島忠で買った茄子やトマトの芽からどんどん養分を奪い尽くし、ついには枯れさせてなおも成長を続けるアボカドの勢いに、夫婦共々「次は我々か」と恐れる毎日で御座います。



男28歳、男28歳を、皆様これからも応援よろしくお願いします。
今週末はポロシャツを着て、右手に意味深な輪ゴム、そのようにちょっとオシャレしてイトーヨーカドーへ行ってきてトランプを買いたいと考えております。
先日近くのBookOffに車で行って「トランプ占い」の本をかったばかりの男28歳の新しい楽しみなのです。
| fabricio zukkini | 妄想 | 22:23 | comments(2) | - | pookmark |
ロウ・パワー状態
 


知ってる人しか分からないネタだと思うけど、帰宅途中の電車の中、つり革に両手でつかまってグッタリしている眠そうなサラリーマンを観ると、イギーポップの「ロウ・パワー」のジャケットを思い出す。
これを密かに「ロウ・パワー状態」と呼んでいる俺。埼玉に様を付けようとも、ロックの心はいつも忘れることはないのである。
| fabricio zukkini | 妄想 | 22:56 | comments(6) | - | pookmark |
日本代表、これで闘え!
サッカーを観ていたのだけどパクチソンが弟にそっくりでいつの間にか韓国を応援していたでござるよ。岡田監督と鳩山由紀夫が似て来たという言う人もいらっしゃいますがパクチソンと弟ほどじゃない。

このままでは日本は大変なことになる。俺からの新日本代表、提案だ。
4バックに三都主と四都主と十都主を配置し、足して十七。ボランチには肉体改造でフィジカル(フィジ・カルロス)に安定感の増した元ジャイアンツの清原。トップ下には元トップアイドルのカー君こと諸星和己。
FWは上背もありポストプレーも出来る川合俊一で、川合と組ませるスピードタイプには元スピードスケートの清水。岡田監督には申し訳ないが更迭。 W杯直前の交代であるからここはひとつ、後任にはビックリするほどの名監督を用意したい。したがって監督はスピルバーグ。スピルバーグ・ジャパンの完成 だ。
キーパーは琴光喜。左サイドには特に理由はないがねずっち。右サイドにV6の長野クン。最後の三名の方は語感だけで特に選考理由は無い。

俺の提案 

監督:スピルバーグ
FW 川合 清水
MF 清原 諸星 ねずっち 永野クン
DF 三都主 四都主 十都主 ゼロ都主
GK 琴光喜

控え:カストロ フォルネンダー ミナンダ バロータ ダルビッシュ 

《作戦》
今日は韓国にセカンドボールをことごとく拾われていたのが敗因なので、ファーストに清原を配置。セカンドボール対策として、セカンドには運動神経のよいカー君を置く。これで 内野の守備を安定させたところで、攻めはというと中盤での繋ぎは捨てて、長野クン(スケジュール的にもドフリー)から相手DF裏へのロングパスをどんどん放 り込む。ロングボールに対しては前線に人数をかけ、極力相手のゴール近くでボールに触るような戦術を徹底。川合のブロックからのこぼれ球を清水がロケット スタートでウォザースプーンを引き離すと、琴光喜が賭博疑惑で事情聴取。
| fabricio zukkini | 妄想 | 22:14 | comments(0) | - | pookmark |
野茂は食用
Jay-zのくちびるをポン酢で食ったら美味そうだ、という記事を過去に書いている俺なのだが、昨日の昼飯時、定食屋のテレビで観た野茂英雄のCMにふと、《食ったら美味そうだな・・》というあらぬ考えがアライズしてきて、「野茂食用説」を真剣に考えてしまった。
一般人と比較した時の野茂の太もも、腹回り、全体的な肉付きとあのサイズはどう考えても食用に品種改良されたとしか思えない。

一時期、元スピードスケート選手の清水の太ももがフライドチキンにしか見えなくなったこともあったが、あれははっきり言って体の一部だけ。それに比べた時の野茂の体全体から放つ食用感、誤解を恐れずにいうならば、、、あの家畜感。

野茂食用説を中心にして野茂を語るならば、彼の大リーグ移籍は壮大な放牧計画の一環であったと考えることができ、渡米以降アメリカ国内で9チームを渡り歩いた彼の放牧は、日本国内で本格的な放牧が出来るのが阿蘇山界隈か北海道ぐらいと言われる中にあって間違いなくメジャー級。野茂をして唯一、ディスイズオーガニック!と言うことが出来るのではないか。
ストレスフリーの広大な放牧に加えてあのトルネード肥育法。野茂の体に秘められているであろう美しいサシ(脂肪)を想うとをよだれが止まらない。

彼がアメリカで「ドクターK」と呼ばれ、スタジアムのプラカードにはNOMOの名前とともに「K」の文字が並ぶ様を観て、俺は長年その「K」の意味が全く分かっていなかったのだが、これも野茂食用説から考えればカルビの「K」に違いなく、なるほどなっとく、再びよだれが止まらない。

野茂というちょっと変わった苗字、これも野茂食用説から解説すれば、「茂(しげる)」の野生種、則ち「野茂」、ということが明かになるわけで、え?じゃあ野茂より家畜化が進み、肉付きこそ劣るものの味はかなり調整された「茂(しげる)」のほうが美味いのでは・・・?!という疑問もありつつ、、、彼が初めて入団したのが近鉄バッファローズであったこともこれで全て説明がつくわけである。
というわけで、俺はどっちかというとソフィスティケートされた「茂(しげる)」が食いたい。

おや、野茂がすっかり関係無くなってしまった。
| fabricio zukkini | 妄想 | 10:31 | comments(3) | - | pookmark |
ヘルメットの陰謀
今日も雪の中、ヘルメットを被って作業をしていた。
一応ホワイトカラーのはずだが、まさかホワイトって雪の事だとは思わなかった。
作業中、頭上にある配管とか出っ張りなんかで何度か頭を打つ。ヘルメットを被っているから良かったものの、それでも「ベコッ!」という激しい衝撃は頭に伝わり「うおっ」と声が漏れる。これぞ激務。危険度Aの尊い作業だ。

激しい衝撃を受け、「ああ、ヘルメット被ってて良かった ありがとうヘルメットさん・・・」とヘルメットさんに感謝するべきところだがよく考えてみた。
頭を打ったのは実は守ってくれたはずのヘルメットを被っていたことが原因であったのでは。つまり通常の頭のサイズよりヘルメットによって一回り以上大きくなっているせいで普段なら当るはずの無いものに当りまくっているだけの事だと。
一応頭上には気をつけているわけだし障害物の位置は大体意識出来ているので、そもそもはちょっとやそっとでは当るはずが無いものなのだ。
実際の所、頭を打って「うおッ」っと驚くのは打った事よりも避けているはずなのに不意に頭を打ったことだし、危ない危ない、これは完全に騙されるところだった。ヘルメットさんじゃねえ、このメットの野郎ときたら、守り神を装った疫病神やで!

このように定期的に実績を出し続けることにより「いやあ、ヘルメットがあってよかったぜ」「いやあ、ヘルメットがあってよかったワ」「いやあ、ヘルメットがあってよかったでゲス」(今更ですが語尾が違うだけなので今の台詞三つは読み飛ばして結構です)などと評価を高め、日本の作業シーンに末永く「無くてはならない存在」として居座り続けるのがヘルメットのやり方。姑息だ、姑息だよ!
だがそんな姑息なやり方も今日で終わり。アクセス12無量大数/日のこのブログが貴様のやり口をこうして告発した以上はその作戦ももう終わり。せいぜいメット仲間とメットカフェで徒党を組んでF5攻撃でもしてな。

理不尽にボコスカ殴って恫喝して心身共に深いダメージを与えた後に、急にコロッと優しい声かけて「優しいところもあるのね・・・」とマインドコントロール。ヤクザが女を手なずけるときの手口に似たモノをヘルメットから感じた。
作業者の皆さん、あなたが今日守られたその頭、ヘルメットの野郎が仕掛けた自作自演ではありませんか?!
| fabricio zukkini | 妄想 | 21:48 | comments(2) | - | pookmark |
シャリ
“特攻の拓”に出てくる“ヤンキー”の“髪型”がよォ・・・・!
全部、“シャリ”に見えん“ゾ”・・・・?!


シャリ




シャリ




シャリ




シャリ(軍艦巻きタイプ)




シャリ




シャリ


| fabricio zukkini | 妄想 | 01:20 | comments(0) | - | pookmark |
おんなクン
昨日の仕事中、「おんなクン」というキャラクターを思いついてしまい、一人悶絶しそうになった。
大好きなのが「おんな」というだけで、あとは「さかなクン」とほぼ同じ設定なのでディティールの説明は割愛させて頂きます。



「ニョニョ〜!」
| fabricio zukkini | 妄想 | 22:07 | comments(8) | - | pookmark |
脱皮
証明写真は、そこにインスタントか街の写真屋かの微妙な違いはあろうが、基本的には同じ構図、同じ条件で人が定期的に撮影する数少ない写真の種類。あれをずっと撮り貯めていたらよかったと時々思う。
証明写真こそ、逃げも隠れも出来ない、その時々の最新版のBestの自分自身を写すものではないかと思うからだ。
普通の写真でありがちな言い訳、例えば、光の関係で・・だとか、一瞬の表情が・・・だとか、油断してたぁ・・とか、証明写真にはそういうのが通用しない。表情も自分の思った物が出せるし何度か取り直し出来る。何枚か撮った中から選ぶ事も出来る。自分で自分の表情を見ながら、微調整しながら撮る事ができるのだから、それははっきり言うと現状出し得る最高の表情であるべきだ。
その上で「この変な顔は俺じゃない」なんていうのならそれはもはや穏やかに死ぬしか無い。

****

日曜日、事情があって証明写真を撮って来た。久しぶりの証明写真。今の仕事に就く前の転職活動中に撮ったのが最後だから、前に撮ったのはもう二年以上前だ。
二年ぶりに見る最新版の、逃げも隠れもしない俺の顔。だが、出来た写真を見てギョッとした。明かに老けていた。自分でも分かった。
「いやー僕もオッサンになりましてねぇ」と自分を卑下して言ってみたりとか、冗談や謙遜などして言う類のものではなく、客観的に見て明かに。

たいして歳もとってないくせに「いやあ、俺ももうオッサンだよ!」と言うヤカラ、全くもってソッチ側でもないくせに「アタシオタク入ってるし!」とか言うタレ、「俺引きこもりでさぁ」なんて嬉々として言うジャリがいるが、彼らにそう言わしめるのは「実際は全くそうではない」「どっちかというとその逆である」「超イケてるワシ等を見ればそうでないことぐらい分かるはず」という余裕からであるのは言うまでもない。
ネガティブ要素だってイケてる彼らには個性、ファッションの一部に昇華される。要は欲しいのは意外性。絶対にそう見えないという自信があるからこそ出来る贅沢な遊びである。
彼らにかかれば、加齢臭だって「臭い俺、逆にカッコ良くない?」に化ける。分かる。
かく言う俺とて、若さの保護膜に守られた余裕から「いやあボクももうオッサンだよ」なんて余裕をかましていた時期が確かにありました。

オッサンにしろオタクにしろヒッキーにしろシマラーにしろ、大体、本職(モノホン)の方々は自身のことついては概ね寡黙である。見た目でバッチリ、いわずもがなだから話題にするまでもない。
ホンモノのオッサンから「いやあ俺はもうオッサンだよ!」と言われたらどうか。「ライティライト。」と全面同意するより手だてが無い。そうだろ。
ちょっと分かり辛ければ例を簡単にするが、牛が「俺は牛だよ!」と言ったら「うん、そうですね。」というしかない。そうだろ、そういうことなのだ。あれ、なんか余計分かり辛くなった。


そんな訳でプリントアウトされてきた最新版・俺の写真に対峙した俺。
今の今まで、何となくマイナーチェンジはしているだろうが、基本的なベースは18歳の頃の顔がいまだに活きているとどこかで思っていた。だがそこにあったのは確かな年月の傷跡・・・。2年前、最後に見た証明写真と比べると随分老けていた。

男27歳、とうとう自分の顔から、来るべき30代、そしてその先の40代の顔までもが初めてハッキリと、恐らく高精度で推測出来た。ただの老けではない「未来に続く、前向きな老け顔」が、初めて俺の前に現れたのだ。
「第三章、ー完ー 俺たちの闘いはこれからだ!」と、あたかも18歳〜26歳までが一区切りであったかのように。
こういうのを見ると冗談でも「いやあオッサンになりました」なんて言えない。自他ともに冗談として認められない。


全ての人が月日とともに少しずつ地道に老けて行くのではなく、人によっては数年に一度、セミが脱皮するかのようにある時突然、そこからステップアップするかのように老けるとしよう。そうさせてください・・
もしそうだとすると、その脱皮の日ってのは証明写真を撮ったあの日の事かもしれない。

こんなどうでもいいことを考えるから老けが込むのでしょうか。
とにかく知らないうちに俺は老けてた。あちこちから誘われているしこれはマジでゴルフ始めるきっかけなのでしょうか。分かりたいです。

| fabricio zukkini | 妄想 | 00:40 | comments(3) | - | pookmark |
業を営む者
ヘルメスの神はおそれおののく彼にこういった。

「お前が落としたのはこの金の斧か」

彼の前に差し出されたのは正真正銘、眩いばかりに輝く金の斧。
だが貧しい家に育った彼は、本物の金を見たことが無い。金が何であるかを知らない彼は、眩い光が煩わしかったのか、ぶしつけにこういった。

「違うね」

ヘルメスは再び湖深く消えていくと、間もなく今度は銀の斧を手に彼に尋ねる。

「お前が落としたのこの銀の斧か」

貧しい家に育った彼。職業はきこり。金は勿論のこと、銀とも無縁の質素な暮らしを続けてきた。
彼の前に差し出された銀の斧にも目もくれず、先ほどと同じ調子で再びこういう。

「それも違う」

ヘルメス、次こそはと再び湖深く潜り、今度こそはと拾ってきたごく普通の斧を彼の前に差し出す。

それを見て彼は言う。

「ああ、それです」

ヘルメスは微笑みこう言う。

「お前は正直者です。この三つの斧全てをお前にあげよう。」

だが彼、少々困惑気味で続ける。

「要りません。私一人でこの森の木を切るのに、どうして三本の斧が必要となりましょう。」

ヘルメス少し驚く。
彼には欲が無い、無垢で純粋、汚れを知らぬ本物の正直者だ。今までに見たきこりならばここで3本の斧を手にし、嬉々として帰ったところ。
ヘルメスは微笑みながらこう言う。

「欲の無い男だ。ならばお前の落とした斧と、この金の斧を取り替えてあげよう。それならばどうだね」

彼、訝しげに金の斧を眺める。
拾ってくれたのはありがたいことだが、なぜこの男は不要な斧を押し付けようとしたり、貧弱な斧と取り替えようとするのか。

「はああん、貴方のやり方が分かりました。ええいいでしょう、本来なら失っているはずの斧、仕方ありません。拾っていただいた分の御礼ならば払います。一体いくらで返してくれるのでしょう。まずはご希望の額を・・・」

思わぬ展開にヘルメスはあわてて彼に事情を話す。
純粋なだけかと思ったら変なところで世間ずれしているのかもな。厄介な男だ。
回りくどいやり取りを省略し、自分の正体、そしてここに現れた目的、そして今までの実績、パターン、事例集などのパンフレット交え丁寧に説明した。
かくも純粋な男が地上にいるのかと狼狽したものの、それを説明した上であれば彼もきっと納得するはず。こういうことはなかなか無い。

「でも、私には必要ありませんね」

神は正直者を救い、不正直な者には罰を与える、それは神が神の世界にて与えられたある種のノルマなのだ。
神が地上の人と交われば、賞か罰、何れかの結果を出さねばならない。
ヘルメスの属するは老舗のオリュンポス十二神。その考えは古い。ニーチェが否定しようが、善悪は二元的なものだといまだに教えられている。

そして今、目の前のきこりがなんと言おうと賞か罰、いずれかを下さねばこのまま戻れないのだ。

神の活動は日々、日報として主神ゼウスに届き、捗々しい結果の得られていない神については、月初めのミーティングで「件数が足りない」などとチクチクやられ具合が悪い。
最近善とも悪とも取れないおおかしなやからが増えたせいで、とみに成績はよろしくない。ヘタに声をかけられやしないし、整備された湖周辺では不法投棄防止を呼び掛ける看板が乱立し今では滅多にモノも落ちてこない。
「昔は良かった・・・」ヘルメスは最近よくつぶやく。
400年前、突如として「言葉に言い表せない不快感」をつかさどる神ストレスが現れた意味、それがヘルメスには最近分かってきた。

デメテルから担当エリアとして引きついたこの湖。
あるときは「金のスコップ」、あるときは「金の釣竿」、ルアーフィッシングの流行にも敏感に対応し、「金のリリースしたブラックバス」なんてものもチラつかせてきた。
思えば今までずいぶん楽に賞罰件数を相当稼いできたこの湖だが、こんな面倒な男はいやはや初めて。
とはいえこの男との接触履歴が出来た以上、何かしらの結果を下さねば来月のミーティングではまた・・・・

「さあ早く、斧を返して下さい」

彼の声でヘルメスは、つぶっていた目を静かに開く。

「森の声を代弁して貴様に天罰を下す」
| fabricio zukkini | 妄想 | 13:42 | comments(2) | - | pookmark |







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