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「おしん」の影響力
「おしん」というドラマをご存知だろうか。
1983年4月4日から1984年3月31日まで放送されたNHK連続テレビ小説で、放送されていた一年間の平均視聴率が52.6%、後に海外数十カ国でも放送されたというモンスタードラマだ。
俺は1982年に生まれたのでこのドラマの内容はほとんど知らない。
wikipediaで検索してみると、このドラマのすごさを示す様々な逸話が載っていたので紹介してみよう。

* 『おしん』は海外、とりわけ発展途上のアジア圏で人気が高く、少女時代を演じた小林綾子が放送された国を訪れると、今でも様々な歓待を受けるという。
* 嫁姑戦争の舞台となった佐賀県では、「県のイメージダウンになる」とNHK佐賀放送局に抗議の電話が殺到した。
* おしんが放映されていたエジプトでは、放映中に停電が起こり、怒った視聴者たちが発電所やテレビ局に対して投石等の暴動を起こす事件もあった。

これだけ見てもこのドラマがいかにすごかったか分かるだろう。

このドラマにおいて俺の地元佐賀県は、主人公「おしん」をこれでもかといじめる憎たらしい姑の出身地として日本全国及び世界60カ国に大々的にアピールされている。
あくまでドラマであるはずなのに、NHKには佐賀県出身のこの憎たらしい姑を非難する電話が相次ぎ、また姑役の女優の元には抗議の文章が殺到したという。同じ佐賀県民として誇らしい限りだ。

さすがにここまでくるとドラマの域を超えた社会現象にさえ思えてくるが、これは何も特殊なことではない。最近では少年サンデーに連載中の「DANDOH!!(ダンドー)」というゴルフ漫画に出てくる主人公、ダンドーくんの身にあまりに不幸な出来事が起きすぎてとうとう編集部に「ダンドーくんをもうこれ以上苦しめないで」という子供たちの手紙が届いたらしい。

今も昔もバカはいるものだ。←言いたい放題

今回なぜ突然この「おしん」の話をしたかと言うと、このドラマが当時の日本国民の半数に与えたインパクトというか、このドラマが残した逸話が単なる過去の話ではなく、いまだに生き残っていることを身をもって知ったからだ。

今日実家に用事があって母親と電話をしていた。簡単な用事だったので用件はニ、三分で済んだのだが、久々に電話をしたもんだから散らばっていった家族の近況についての話をちょっとしていた。
その中で、俺の兄が今度彼女を連れて実家にやってくるという情報を得た。そんなことして、結婚を前提にでもしているのだろうか。兄ちゃん、俺には何もおしえてくれないぜ。
俺の兄は高校卒業後に地元を出て、今では美容室の店長をしている。本人は今働いているところに店を出すと言っているもんだからそのまま帰ってこないつもりなのだろう。
だが田舎ではいまだに長男は地元に帰ってくるべし、という考え方が当たり前に残っているのでこれは実家の父母にとってはあまり良い話ではないかもしれない。

うちの母親は今回兄が彼女を連れて実家に帰ってくるにあたって、こんな話を聞かされたという。
なんでも、兄の彼女はご両親から
『佐賀の姑さんと言ったら<おしんの姑>で有名なくらいなんだから、気を付けなさい』
という「警告」じみたアドバイスを受けたというのである。
衝撃である。うちの母親はおしんとは関係ない。勿論息子である俺もだ。
これを向こうのご両親も冗談で言っているわけでもないというからおそろしい話だ。
大体「気を付けなさい」って何を気を付けるのだろうか。
かつてうちの母親は兄の友達に、NBAのシカゴブルズのマークに似ていたことから「ブルズ」というあだ名をつけられたことがあるが別に素行には問題は無いと思う。

おしんの放送が終わってもう22年になるというのに、いまだにその当時の視聴者の記憶には「佐賀の姑」の悪事が刻まれているというのか。恐るべし、視聴率52%である。
ドラマ内だとはいえ、佐賀で起きた嫁姑戦争はもはや一つの歴史上の事件といっても過言ではないのだろう。
だとしたら同じように世界中に配信された、世界向け「saga no shootme」の悪事も世界中で観た人の記憶に当然残っているはず。日本全国の「佐賀の姑」にはただただ気の毒だ、といわざるをえない。

ただ、甘っちょろいストーリーでトレンドだけを重視したような最近のドラマに、これほどの影響力が出せる日はもう来ないだろう。
家族構成の変化、娯楽の多様化も勿論あるだろう。そういう時代じゃないかもしれない。だけど日本のドラマはそれら無しでも十分魅力がなくなっている。
韓国のドラマが面白いのだろうか?いや、俺はただ日本のドラマが、俳優が信じられないくらい軟弱になっただけだと思う。
スマートな物語だけでは同世代の女性というやつからの共感は呼んでも、「佐賀の姑」が世の中に与えた怒りと言う名の感情移入の境地へは到達できまい。
なんてったって20年も持続可能なんだからな。

放送が終了して20数年経った今でもこうして、人々の記憶に一つの経験として残っているような強烈なドラマを、俺もリアルタイムで観たいものである。

| fabricio zukkini | 未分類 | 22:25 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
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はじめまして、いつもこっそり楽しく読ませていただいてます。

実は僕も最近おしんについて驚くべき発見があったので、報告いたします。
学校に台湾人の友人がいるのですが、彼によると台湾の若者の間では「おしん」が動詞として使われているようです。
意味としては「単調な作業を黙々とする」というニュアンスだそうです。
ちょうどはがきの宛名貼りをしていた僕に向かって「うわっっ、『おしん』してるな」という使い方をしていました。

いつから若者の間で使われ始めたのかは、不明ですが、その友人は兵役の間1年半、陸から2キロ離れた灯台に住み込み、一日中対岸の中国を監視すると言う役目を担わされていたらしいので、彼らのそういう経験から「おしん」するという言葉が生まれたのではないかと推測しています。今後の研究の参考にしていただければありがたいです。

これからも示唆に富んだコラムを楽しみにしています。


| hanu | 2006/04/15 9:24 AM |
hanuさん、こんにちは。
おしんに関する貴重な情報ありがとうございました。
台湾人のおしんの用法、また台湾人が兵役の下で中国を監視しているという話は自分ではとても知り得ないお話で、ほほうと思ってしまいました。
同じドラマをみてもそこから受ける印象は隣国でも若干違うのでしょうね。おもしろいです。
彼等はおしんの姿に強烈に「耐え忍ぶ」というイメージを受けたのかもしれませんね。

公開する以上、他人が読んでも面白い文章を心がけております。これからもどうぞよろしくお願いします。
| zukkini | 2006/04/15 6:56 PM |









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