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マルヨシ運送
何度かこのブログにも登場していると思うが、前の職場の上司がかなり面白かった。
築地関連の話で「上司」と書かれているのは全部この人だ。
そのマイペースな行動から社内外から本気で「キング」とまで呼ばれていたのだが、築地で「キング」と呼ばれるのはこの人か大間のマグロぐらいで、それはつまりとても凄いことです。
部下の面倒見の良さはキングの証。俺は特別気にかけてもらっていて本当に色々とお世話になった。
環境は糞だったけど、この上司をはじめとして改めて別の仕事をしてみて前職の人々の素晴らしさを最近強く感じる。

この「上司」に関しては色々と思い出がある。
個性派の集る築地の中でもその破天荒な性格は群を抜いており、語り継がれる伝説は数知れず。それを全て聞く前に辞めてしまったのが唯一の心残りだ。
多分見ていないと思うけど、色々お世話になりました。そして色々ネタにしてすいません!

****

この上司にはよく利用する運送屋があった。確か名前はマルヨシ運送だったと思う。
通常青果物を販売したらそれを買ったスーパーなり八百屋が自分のトラックで運んでいくのが常なのだが、それができない場合、例えば朝10時頃になっても現場に大量に売れ残っている場合や、元々築地に引き取り用のトラックが来ないような都内でもちょっと遠くに荷物を売る場合など、こちらから集荷を依頼して運んでもらうことがある。(それ以外にもあったと思うが俺は詳しくない)
上司はその場合によくマルヨシ運送を利用していたのだ。

マルヨシ運送は社長が直々に市場にやってきて荷物を拾っては自分でフォークを操りトラックに乗せて去ってゆく。
小さい運送会社らしく小回りが利き、少ない数の荷物の近距離配送も平気で受けていたようで、あの上司は何かあれば大体マルヨシ運送の社長に電話をしていた。

マルヨシ運送が活躍するとき、それは大体スクランブル出動の場合が多い。
破天荒な上司だったので色々と無茶な依頼も多かった筈だが、マルヨシ運送の社長はめげずに食らいついていき、日に日に上司の信頼を得てゆく。
そしてそんな信頼関係はいつしか特別な感情へと昇華され、ある日とうとう上司とマルヨシ運送の関係はただの客・運送屋の関係を超越し、あってはならないK点越えを成功させてしまう・・・・


これはある日の会話だ。

「あ、社長・・・!悪いんだけどさ、ちょっと○○駅まで来てくれない?!ちょっとさ、、、俺、病院行きたいんだ!そう、荷物っていうか、そう、そう、そう、俺!ええと駅の場所は千葉県の、、、」

荷物、俺。
何と、駅にマルヨシ運送を呼び、トラックの助手席に座り病院へ。
荷物はまさかの「俺」なので、つまりトラックの荷台は空っぽ。荷台に掲げられた「運送」の文字が泣いている。
社長の手書きの配送伝票にはなぜか「品名 イチゴ」と殴り書きされていたという。


さらにある日の会話。

事務所で煙草を吸いながら電話をかける上司。
「あ、社長!悪いんだけどさ・・・!」の後に続く電話の内容を聞いて事務所に居た一同は愕然としたという。

「社長、俺の家に入ってってさ!・・・クローゼットの中にスーツあるからそれ会社まで持って来てくれないかな!家電話しとくから、入ってね、クローゼットはね、ええと、奥入って行って最初の右の部屋にあるから、ええと俺の住所は千葉県の、、、」

荷物、スーツ一着。
何と、自宅にマルヨシ運送を派遣し、あろうことかスーツをクローゼットから探し出させ、なんとそれをマルヨシ運送の2tトラックで会社まで配達させたのだという。
小回りとかいうレベルではなく、これってただのパシリですやん。
社長の手書きの伝票にはなぜか「品名 スイカ」と殴り書きでされていたという。


さらにある日の会話。これがもう、圧巻でした・・。

「社長、悪いんだけどさ・・・!」
事務所の机でいつものように電話をかけるその姿。
今日は一体何が配達されるのだろうか?一同耳に神経を集中させる。麻薬か、死体か、脱北者か・・・
だがそんな想像を超えた次の一言で事務所ばかりか、運送業界に激震が走った・・・!

「俺のお父さんの家に入ってってさ!お父さんを病院まで連れて行ってあげてくれないかな!ええとお父さんの住所は千葉県の、、、」

荷物、俺のお父さん。
みなさんには信じられないと思うが、上司はマルヨシ運送に自分のお父さんを「集荷」させ、病院まで「配達」させたのだという。
またしてもマルヨシ運送のトラックの荷台は空のまま。助手席にお父さんを乗せ、マルヨシ運送の社長は黙って病院まで運転して行ったのだ。

社長の手書きの伝票には、ついに「品名 お父さん 1人」と殴り書きされていたという。



**** 

昨日この日記を更新した直後、本当に更新し終わって5分後ぐらいに件の上司と、もう一人、あの当時仲良くしていた仲卸の専務から突然電話がかかってきた。
今回の記事はさすがに更新直後で見ていないにしても、以前から何度か記事で取り上げているのでついにそのことがバレたか?!と恐る恐る電話に出てみた。
インターネットの見方、PCの扱い方を一から教えたのは俺だったのだがそれが仇となったか・・!shit!

杞憂に終わった。
要件はつまり、今の仕事が上手くいってなかったらいつでも戻ってこい、という内容で、
「お前のポストは用意してある」
という有り難いお言葉も頂いた。
ポストと言えば聞こえは良いが、そのポストがフォークリフトの運転席である可能性も十分ある。

「あと3年は予定ないですねぇ・・・」とお茶を濁したが、久しぶりに築地が懐かしくなり「いやあ、今度遊びに行きますよ」と言うと、「きょ、今日はやめてくれよ」というトンチンカンな答えが返って来た。
土曜日も市場は開場しているので、近々土曜日に行こうと思う。
気付くともう辞めて一年経っていた。



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| fabricio zukkini | 築地 | 13:15 | comments(6) | - | pookmark |
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上司に恵まれたね。でもこの上司ネタの投稿には十分に気をつけられたし。
自分の常識に捕らわれる人も多いので、作り話の疑いをかけられるやも知れんぞ。

この上司、ほかにも話を聞いてますがマジありえんもんw
| sungi | 2008/04/27 11:51 AM |
>sungi
これ本当はもっと色々小ネタが加わってくるんだけど、築地の細かいルールとか仕組みみたいなもんから説明しなきゃいかんから逆にかなりネタ削って書いてるんだぜ。
その意味では細かい設定など一部事実と異なる部分はあるのはあるんだがね。
| zukkini | 2008/04/27 1:13 PM |
いやー凄いっす。
ちょっと市場までチャリ走らせて、「上司」の人を確認しに行きたくなったくらいです。
| tornado | 2008/04/28 10:28 AM |
もし今度築地に行く機会があれば、そのときは上司の帽子についてる番号を教えますので是非探してみてください・・・
ただ、帽子を全然被らないことで有名なんですけどね 俺も何度か帽子貸しました。
| zukkini | 2008/04/29 9:02 AM |
素晴らしい上司と、認識できる器の広さがナイス。
私のかつての上司は、他部署に移ってからも内線電話で私にアイスコーヒーを作って持ってこいという、優しい人でした。
| ミッシェルP | 2008/04/29 9:36 AM |
僕は仕事やめたあとなのに電話かかってきて「ちょっと手伝ってくれ!」って言われたことありました・・・
アルバイト料と桃二箱もらいましたけどね。
| zukkini | 2008/04/29 9:48 PM |
















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